三角点とは まとめ 




三角点とは まとめ 〜簡単に知る三角点〜

甲斐駒ヶ岳 一等三角点




山頂や見晴らしの良いところにある「三角点

山頂の三角点に触れて登頂を喜ぶ登山者なども見かけますが、

必ずしも山頂にあるとは限りません

そもそも何のために設置されているものなのか? 疑問に感じる方も多いはず

そこで三角点に関して簡単に まとめてみました。

基準点

基準点とは、地球上の位置や海面からの高さが正確に測定された電子基準点三角点水準点等から構成され、地図作成や各種測量の基準となるものです。

これらの基準点は、すべての測量の基礎として、公共測量・地籍測量・地殻変動観測等に使用されます。

また、都市計画、都市基盤整備、電力・ガスの事業計画や管理、観光開発、交通網の整備、環境管理、福祉計画等に必要な地図作成に基準点が使用されます。

そもそも三角点は基準点の一つです

経度・緯度・標高の基準になるのが「三角点」で、標高に関しては

別途「水準点」も基準となります。

三角点

三角点は、比較的に山の頂上付近や見晴らしのよいところに設置されていることが多く、経度・緯度・標高が正確に求められています

地図の作成はもちろんのこと道路の建設、都市の開発などの公共事業を行う際にはなくてはならないものです。

国土地理院発行の地図に△の記号で表示されているのが三角点で、一等から四等までの4種類があり、全国に約109,000点設置されています。

中でも一等三角点は三角点網の骨格として、全国に平均距離約25kmで約650点設置されています。おおよそ全国に均等になるように設置されましたので山頂ばかりに設置されているわけではありません

つまりは、三角点によって経度・緯度・標高が正確に計測され

地図などに用いられています

また、三角点と呼ばれている割には、

標石と呼ばれる四角形の石柱により出来ています

四角形のになぜ三角点かというと、三角測量という測量法のための基準点だからなんです。

三角測量の概念図

三角測量

 明治時代に距離を正確に測る方法は巻き尺しかありませんでした。3km~10km離れた平坦な場所にある2点間の距離を正確に測り、もう1点を加えて三角形を作り、三角形の内角を測ります。この1辺と内角から三角形の大きさと形を計算で求めます。さらに点を増やして三角形の内角を測ります。こうして三角形の網を作り、三角形の各点の位置を求めていくのが三角測量です。 国土交通省国土地理院H.Pより

一等三角網図

少し難しく感じてしまった方もいるかもしれませんが、

要するに学生時代に習った「三角関数」を用いて測量しました。

全国に配置した三角点を結んで三角形を作り、

その一辺の長さと交わる角度から、残りの距離や角度を求め数値化していきました。

三角点設置の経緯

当初三角点は日本全土の地図を作製することを目的として明治初期より執り行われてきました。

一等三角測量を行う際は、はじめ本点(約45Km間隔)測量(三角測量・天文観測・基線測量)を実施して大体の間隔を定め、ついで一等の補点(本点を含めて約25Km間隔)を用いて全国の精度よく測量し、一等三角点網を完成させました。次に一等三角点を利用して約8Km間隔に二等三角点を設定し、一等・二等三角点を含めて約4K間隔に三等三角点を設けました。更に約1~2Km間隔に四等三角点を設けて、各基点から地形を20mの等高線に描写して地形図を作製したのです。

全国の三角点の数 2019年4月末現在

種類 設置の間隔(面積) 設置の間隔(距離) 一辺
一等三角点

974点

(補点約650点)

1500k㎡に1点
(補点は500k㎡に1点)
45km 間隔
(補点は25km 間隔)
18㎝
二等三角点 5009点 55k㎡に1点 8km 間隔 15㎝
三等三角点 31754点 8k㎡に1点 4km 間隔 15㎝
四等三角点 71746点 2k㎡に1点 2km 間隔 12㎝
合計 109483点

三角点の断面図

一等 二等 三等 四等
標石頂部の一辺 18cm 15cm 15cm 12cm
標石頂部の高さ 21cm 18cm 18cm 15cm
標石の高さ 82cm 79cm 79cm 63cm
標石の重さ 90kg 65kg 65kg 40kg
盤石の一辺 41cm 36cm 36cm 30cm
盤石の高さ 12cm 11cm 11cm 9cm
盤石の重さ 45cm 30cm 30cm 20cm

*下部盤石は一等三角点のみ

実は三角点の標石、地表に出ている部分はわずかなんです

残りは地下に標石と盤石と呼ばれる支えにより構成されています

たまに長い三角点を見かけますが、

これは長年の侵食により標石部が地表に出たためのものです。

また、明治初期から始まった一等三角点の設置には

重さ約90kg(24貫)の三角点を人夫が背負い人力で山頂まで運んだそうです

その他の基準点

水準点

水準点

水準点とは、全国の主な国道又は主要地方道に沿った約2kmごとに設置してあります。この水準点を使用することにより、土地の高さを精密に(mm単位)に求めることができます。

また、地殻変動、地盤沈下対策等に必要な土地の上下変動は、水準点の測量を繰り返すことにより求められます。

水準点には、基準、一、二等の種類があり、全国に約17,000点設置されています。

天側点

坂部村天側点( 静岡県牧之原市)

三角測量による測量誤差を、

恒星による天文測量により絶対位置を求めました

重い測量機器を乗せるために、頑丈なコンクリートで出来た石柱状の造りをしています。

天測点が使われたのは昭和29年から昭和34年のわずか5年間だけだそうで、

全国に48ヶ所しかない珍しい基準点です。

天測点

天測点とは、日本の三角点の経緯度は元東京天文台の原点を基準に三角測量によって対照的に求めていたが測量誤差が生じる。そこで天文測量といい、恒星による要所々々で子午儀を使って天体観測から絶対位置を求めました。この位置を天測点といいます。一九五四年から一九五八年までに全国の三五の道府県に四八点が設置されました

電子基準点

富士山剣ヶ峰 電子基準点

最近設置されることが多い「電子基準点」は

GPSを使った測量の基準点で、全国に約1200箇所あります。

人工衛星に対し天文測量により絶対値を求める天測点のデジタル版

三角点のように周囲の見晴らしを考える必要はなく、

また電源やメンテナンスのこともあって山頂で見ることはほぼありません

電子基準点

GNSS(Global Navigation Satellite System:全世界的衛星測位システム)衛星からの電波を連続的に受信する新しい基準点として電子基準点が設置されています。

全国の電子基準点の観測データは、常時接続回線等を通じて国土地理院(茨城県つくば市)に集められます。

国土地理院では、観測データの解析処理を行い電子基準点の位置の変動を毎日監視しています。

電子基準点は、全国に約20km間隔で約1,300点設置されています。

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