神社の社殿建築の種類 まとめ




神社の社殿 建築の種類 まとめ



よく見ると、格や歴史・祀られてる神様などにより

神社の社殿(拝殿)の建築が異なります。

神社に訪れる際に少し気にするだけで数倍お参りが楽しくなります。

今回は社殿の種類を簡単にまとめてみました。

■ 平入形式

■ 神明造(しんめいづくり)

伊勢神宮が代表例。
切妻造、平入りで弥生時代の穀倉としての高床建築と類似する
素木造 (しらきづくり) 切で反りのない屋根を檜皮(ひわだ)・茅(かや)・銅板などで葺(ふ)き、破風(はふ)は交差して棟上で千木(ちぎ)となり、その間に鰹木(かつおぎ)を置く。
白木造りが多い。
両側面に棟持柱 (むなもちばしら) を立てた。
伊勢神宮の様式を特に唯一神明造という。

伊勢神宮 内宮(皇大神宮)の記事

伊勢神宮 外宮(豊受大神宮)の記事

■ 流造(ながれづくり)

伊勢神宮に代表される神明造りから発達したもので、屋根は前のほうが長くのびて、向拝(正面のひさし)をおおい、母屋の屋根と向拝の屋根が一連のなだらかな曲線を描くようにつくってあるのが特色。
代表的なのが賀茂別雷神社(上賀茂神社)賀茂御祖神社(下鴨神社)全国で最も多い神社本殿形式、日本の神社は約7割流造であるといわれる。

伏見稲荷大社(京都府京都市伏見区)の記事

■ 妻入形式

■ 春日造(かすがづくり)

奈良の春日大社本殿にみられるような神社本殿の形式
切妻(きりづま)造、妻入りの建物の前面に階隠(はしかくし)の庇(ひさし)をつけた形になる。
一般に小規模になるため、土台建てが多い。
前面の庇の両端は本体の妻の破風(はふ)板に取り付けて、
縋(すがる)破風の屋根になるのが正規の手法であるが、
正面両隅に隅木(すみき)を入れて軒を入母屋(いりもや)風に回すものもあり、
後者を隅木入り春日造と呼び分けている。

春日大社(奈良県奈良市)の記事

■ 大社造(たいしゃづくり)

切妻(きりづま)造、妻入(つまいり)の本殿で、平面は柱間が正面二間、側面二間になる。
神明(しんめい)造や住吉(すみよし)造とともに古い神社本殿形式で、
遺構は島根県内に限られる。
出雲(いずも)大社本殿(江戸時代、1744年造営。国宝)が代表的なものであるが、神魂(かもす)神社本殿(桃山時代、1583年造営。国宝)のほうが古式を伝える。
出雲大社本殿は現在礎石上端から千木(ちぎ)までの高さが八丈(約24メートル)であるが、古代32丈(96メートル)、中世16丈(48メートル)の伝承があり、巨大な本殿であった。
平面は方形で、中央に心柱が立ち、後ろの一間が神座になる。
出雲大社と神魂神社では神座の位置が左右逆になる。
心柱に対して正面および背面中央の柱は宇頭柱(うずばしら)といい、
本来は妻の外側に独立して立った棟持柱(むなもちばしら)の名残(なごり)という。
正面入口は向かって右側につくが、佐太(さだ)神社本殿のように左側のものもある。
また、美保(みほ)神社本殿は比翼大社造となる。

出雲大社 本殿(島根県出雲市) 国宝

■ 住吉造(すみよしづくり)

切妻(きりづま)造、妻入(つまいり)で、正面二間、側面四間と奥行が深く、
内部は中央で仕切り、後部を内陣(ないじん)、前部を外陣(げじん)に分ける。
正面に階段がつくだけで周囲に縁が巡らず、素朴な外観をみせるが、
柱は朱塗り、壁は胡粉(ごふん)塗りの横板壁で色彩の対比が鮮やかである。
棟の両端は現在鬼板を飾り、棟上の鰹木(かつおぎ)は角形となり珍しいが、
木(ちぎ)も置千木となり古式が失われている。
大阪・住吉大社本殿(国宝)が代表的で、類例は少ない

神社本殿としては神明造・大社造・大鳥造と並んで飛鳥時代まで遡る最古様式に位置づけられる

住吉大社 本殿(大阪府大阪市住吉区) 国宝

■ 大鳥造(おおとりづくり)

大鳥大社(おおとりたいしゃ)に代表される大鳥造は、
出雲大社に代表される大社造から発展した様式で、立方体に屋根を乗せたような、直線的で簡素な造りとなっている。
住吉造の奥行きを半分に簡略化した様式ともいえる。
大社造と同様に方2間の正方形であるが、回縁が廃され、御心柱がない。
入口は正面中央で、内部は内陣・外陣に区切られ、内陣中央に神座が位置する。
切妻造・妻入であり、屋根は大社造に比べて直線的なものが多い。
屋根は萱葺に限らず杮葺や檜皮葺など幅広い。
屋根を支える前面の破風は、懸魚で修飾される。
柱は2間の正方形で、中央の御心柱と正面中央の柱がない。
壁正面中央の1か所に観音開きの御扉による開口部が設けられる。
床は大社造や神明造に比べて低い。

大鳥大社(大阪府堺市西区)

■ 隠岐造(おきづくり)

島根県の隠岐島に鎮座する神社の本殿に見られる、隠岐地方独特の様式である。
切妻造妻入の身舎の正面に片流れの向拝を付すが、向拝の屋根が身舎の屋根と連続していない構造に特徴がある。
身舎と向拝の屋根が連続すると春日造に似た形態となる。
そのため隠岐地方には、隠岐造ではなく春日造変態と区分される本殿を有する神社もある。

代表する神社に水若酢神社・玉若酢命神社・宇受賀命神社・伊勢命神社などがある。

水若酢神社本殿(島根県隠岐郡) 国重要文化財

■ 中山造(なかやまづくり)

岡山県津山市一帯に鎮座する神社の本殿に見られる独特の様式で、
津山市の美作国一宮、中山神社の本殿を代表とする。
方3間の入母屋造妻入の身舎正面に、1間の向唐破風の向拝を付す。
その他、美作総社宮・鶴山八幡宮・高野神社・徳守神社・高田神社などがある。

中山神社の本殿(岡山県津山市) 国重要文化財

■ 複合社殿形式

■ 八幡造(はちまんづくり)

神座のある前殿(まえどの)後殿(うしろどの)と呼ばれる切妻造・平入の2つの建物を別棟(むね)にし、前後に連結させ両方の屋根が接する部分に樋(とい)、相の間(あいのま)を設けたもの。前殿を外殿・礼殿・細殿・出殿・出居殿といい、後殿を内殿とも呼ぶ。前殿に椅子、後殿に帳台が置かれ、ともに神座である。昼は前殿、夜は奥殿に神が移動するとされる。
宇佐神宮・石清水(いわしみず)八幡宮の本殿などにみられる。

宇佐八幡宮 上宮本殿(大分県宇佐市) 国宝 

■ 日吉造(ひえづくり)

切妻造の正面左右にひさしをつけている。
聖帝造(しょうていづくり)・山王造(さんのうづくり)ともいわれ、全国的にも珍しく、日吉大社に三棟しかない。

日吉造は入母屋造平入の変型にあたる極めて特殊な形式である。正面三間と側面二間の三方にのみ庇を伸ばし、背面は垂直に切り落としたような屋根になっている。このような構造がとられているのは背後の比叡山を御神体とし、社殿がその拝殿としての性格をもつためとみられている。

日吉大社(滋賀県大津市) 国宝 の記事

■ 権現造(ごんげんづくり

久能山東照・日光東照宮・宮京都北野神社などに代表される権現造は、
本殿と拝殿を相の間(あいのま)で連結したものをいう。
屋根は本殿、相の間、拝殿とエの字形に連なる。
相の間の床が、本殿、拝殿より低く石敷きとなるものを石の間という。
一般には相の間は拝殿と同じ高さの板敷きになり、幣殿(へいでん)として利用される。
権現造の社殿は本殿が流(ながれ)造と入母屋(いりもや)造の2種類あるが、
いずれも豪華な造りになり、拝殿も正面屋根に千鳥破風(ちどりはふ)を飾るなど装飾化が図られている。

権現造の発祥は静岡県の久能山東照宮(1617年建立の社殿)とされ、権現造の名は東照権現に由来し、別に石の間造ともよばれる。

久能山東照宮(静岡市駿河区) 国宝の記事

秩父神社(埼玉県秩父市)の記事

■ 浅間造(せんげんづくり)

富士山本宮浅間大社に代表される浅間造は、
社殿の上にさらに別の社殿が載った二階建ての建築様式で、
神社建築としては特殊な形式である。
浅間造は、正面五間側面四間の入母屋造または寄棟造の社殿の上に、
三間社流造の本殿が建つ、二重の楼閣構造となっている。
なお、神座は上層にある。二重構造の拝殿も、同様に浅間造と呼ばれる。
浅間造は、1300社以上ある浅間神社の中で、
富士山本宮浅間大社(本殿)・静岡浅間神社(拝殿)
多摩川浅間神社(本殿)・浅間神社 (本殿)の4社にのみとされる。
なお、富士山本宮浅間大社の浅間造は、建立を行った徳川家康の
「富士山が正面にみえる位置でお供えをしたい」という意向を踏まえたものとされる。

富士山本宮浅間大社 本殿(静岡県富士宮市)の記事

静岡浅間神社 拝殿(静岡県葵区)の記事

■ 尾張造(おわりづくり)

本殿(後)、祭文殿(中)、拝殿(前)を回廊で繋いだ左右対称の建築様式で、
尾張地方独特の建築様式
真清田神社(愛知県一宮市)・津島神社(愛知県津島市)・尾張大国霊神社(愛知県稲沢市)・大縣神社(愛知県犬山市)・田縣神社(愛知県小牧市)・高座結御子神社(愛知県名古屋市熱田区)・氷上姉子神社(愛知県名古屋市緑区)・富部神社(愛知県名古屋市南区)など。

津島神社(愛知県津島市)

大縣神社(愛知県犬山市)の記事

■ 水分造(すいぶんずくり)

屋根は桧皮葺きで渡廊も背面を板壁、正面を吹放しとして低く屋根を架ける。
御神座は主祭神を春日造の中殿に設け、
流造の左右ニ殿は柱間毎に縦に二室に分割して、合計五座となる。
構造の細部も優秀巧緻で建築上の模範であり、神社建築上の一異彩と称される

建水分神社(大阪府千早赤阪村)

吉野山 吉野水分神社(奈良県吉野)の記事

じつは何気なく通っている鳥居、実は数多くのバリエーションがあります。大きく分けると神明系・明神系の2系統があり明神系のほうが、装飾性が強いのが特徴です。神社を訪れた際は、その神社にどの種類の鳥居があるのか調べてみてください。

神社には「神宮」「大社」など様々な呼び名があります普段、何気に参拝している神社の名前は格式によって呼び名に違いがあるのはご存知でしょうか? また「稲荷神社・八幡神社・熊野神社」など、各地には特定の神社名が存在しますが、祀られている御祭神や総本社 ご利益を詳しく知ることで、より神社への参拝が楽しくなるはずです。これら神社の種類と社格に関してまとめてみました。

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