鳥居の形・種類 まとめ




鳥居の形・種類について



じつは何気なく通っている鳥居、実は数多くのバリエーションがあります。

大きく分けると神明系明神系の2系統があり明神系のほうが、装飾性が強いのが特徴です。

神社を訪れた際は、その神社にどの種類の鳥居があるのか調べてみてください。

ちなみに日本最古の鳥居は山形県山形市鳥居ヶ丘にある凝灰岩で造られた石鳥居で、

平安後期の作と推定されています。

■ 神明系 鳥居

神明鳥居に代表されるものは、柱や笠木は丸材を用いることもあるが、

全体的に直線の部材が用いられる。

神明鳥居は素朴な形式で、全体的に直線的である。

■ 神明鳥居

神明鳥居
(神明系)
神明系の鳥居は、柱、笠木、貫により建立され、
柱にはころびがなく原始的で、たて柱・横木とも直線式の形状をしています。笠木・貫・柱のいずれも円形状のものが多いです。

旧台南神社の神明鳥居

■ 伊勢鳥居

伊勢鳥居
(神明系)
伊勢神宮代表される鳥居の形式
笠木(かさぎ)は五角で,角貫(かくぬき)を使う。
熱田神宮の鳥居もこの形式。

靖国鳥居と似た建立でありますが、笠木を五角形に作り、
貫と柱の間には楔を入れて動かないように固定している点が
異なっています。

伊勢神宮 内宮(皇大神宮)の大鳥居

■ 鹿島鳥居

鹿島鳥居
(神明系)
鹿島神宮代表される鳥居の形式

柱と笠木には円形の材,貫(ぬき)には角形の材を用い貫の端は柱の外に突き出させる。
柱はまっすぐに立ち,笠木・貫の両端は垂直に切る。鹿島神宮の鳥居に代表される。

白丸太鳥居と同じような木肌で出来ていますが、
柱と笠木は丸太材で作られ、貫が角材によって柱の両端に、
抜き出ているところに特徴があります。

東日本大震災で倒壊し復興を遂げた

茨城県鹿嶋市の鹿島神宮(かしまじんぐう)の大鳥居

■ 靖国鳥居

靖国鳥居
(神明系)
靖国神社に代表される鳥居の形式

他に招魂(しょうこん)鳥居、二柱鳥居などの呼び名があります。
靖国神社の鳥居は靖国鳥居といわれていますが、神明鳥居に属します。

しかし、貫の断面は長方形になっています。

靖国神社 三の鳥居 より

■ 宗忠鳥居

宗忠鳥居
(神明系)
柱と笠木は、丸太材で建てられ、貫は角材を使用し、
その貫が柱の両端に貫き出て建立されています。
この形式は鹿島鳥居と同じですが、
鹿島鳥居には額束がないのに対し、宗忠神社にある形式の、
いわゆる宗忠鳥居は額束があるところに違いがあります。

宗忠神社(むねただじんじゃ)京都市左京区

■ 黒木鳥居

黒木鳥居
(神明系)
明神鳥居が笠木、貫、柱のいずれも樹皮をむいて、
丸太材の組み合わせによって構成され
建立されているのに対して、
樹皮のついたままの丸太材をもって組み合わされた鳥居です。
最も素朴で原始的な鳥居です。

元伊勢内宮皇大神社(京都府福知山市大江町)

■ 白丸太鳥居

白丸太鳥居
(神明系)
白木鳥居・皮剥鳥居・明白木鳥居とも呼ばれます。
樹皮をすべてはいで建てられた鳥居で、
木肌が白く見えるところからつけられた名称です。
また歴代天皇の御陵に多く使用されているので御陵鳥居とも言われます。

島田市高熊福用の八高山白光神社(はっこうじんじゃ) の奥の院に

綺麗な白丸太鳥居の鳥居がありました。

木嶋座天照御魂神社(このしまにますあまてるみたま)京都市右京区太秦

■ 明神系 鳥居

明神鳥居は笠木の下に島木があって反りが加えられている

柱は地面に対して少し傾斜(転び)をつけて立てられている。

宇佐鳥居以外は笠木と貫を額束で連結して補強している。

■ 明神鳥居

明神鳥居
(明神系)
伊勢鳥居、鹿島鳥居、春日鳥居、八幡鳥居、靖国鳥居などは、
みな直線式とでもいうような建立の仕方(神明系)であったに対し、
この明神鳥居は、笠木と島木の両端がそりあがっていて
曲線美を表すように作られています
そして両方の柱の上部が中央に多少とも入り込んで
建立されているところに特色を持つ鳥居です。

京都市伏見区の伏見稲荷大社(ふしみいなりたいしゃ)

また塗り他を朱色に塗った明神鳥居を稲荷鳥居ともいいます。

■ 春日鳥居

春日鳥居
(明神系)
春日神社の一の鳥居に代表される鳥居の形式。
笠木の端が垂直になっており柱径が太く,わずかに内側に傾き,
島木・笠木の反りは少なく,額束(がくづか)がある

春日鳥居は、笠木が断面で、五角形により作られ、
貫は四角形により建立されているところなどの点は、伊勢鳥居に似ています。
しかし、笠木と島木がともに、その両端が垂直に切り落とされ、
柱は円形にして、楔を付けている点に特徴をもっています。

春日鳥居の典型 春日大社 一の鳥居

■ 八幡鳥居

八幡鳥居
(明神系)
水平な笠木と島木の両端を斜めに切り落としたもの。

八幡鳥居は、春日鳥居の一様式で、笠木の断面は五角形で作られています。

そして、笠木ののすぐ下に四角形の島木があり、
四角の貫が丸柱を貫いている点は、春日鳥居とまったく同じです。
しかし、笠木と島木の木口が斜めに切り落とされている点が異なっています。

鎌倉 鶴岡八幡宮 三の鳥居

■ 台輪鳥居

台輪鳥居
(明神系)
島木の下に台輪がある明神鳥居
明神鳥居から変形した建立の仕方で、柱と島木との接点の部分に、
一枚の「座」をはめているところに大きな特色をもっています。
そして、この「座」を台輪と称して、
柱の上部から腐っていくことを防ぐための手法から生まれたものです。
実際に腐蝕を防ぐために役だっているのかどうかは不明ですが、
太い柱と細い島木との間にあり、調和のとれた建立となっています。

京都市伏見区 伏見稲荷大社 二の鳥居

■ 山王鳥居

山王鳥居
(明神系)
柱が垂直で笠木も貫も円柱。
笠木(かさぎ)の中央に棟柱を建てて合掌形の破風を架したもの
日吉(ひえ)山王権現の鳥居から始まったという。

基本は明神鳥居から建立されていますが、
柱の根元を板や竹で巻き付けてあります。
笠木の上部が合掌状のつき上げた形の鳥居です。

代表的な日吉大社(ひよしたいしゃ)の山王鳥居

■ 住吉鳥居

住吉鳥居
(明神系)
住吉大社などに用いた鳥居で,中山鳥居の柱が四角となったもの

鳥居は柱が丸いもので建立されているのが
一般的でありますが、この鳥居は柱が四角に削られて建立されています。
そのため角柱鳥居ともいわれます。
建立の仕方は明神鳥居と同じです。

大阪府大阪市住吉区にある住吉大社の石鳥居

■ 両部鳥居

両部鳥居
(明神系)
四脚鳥居・権現鳥居・枠差し鳥居・袖鳥居・児持鳥居
宮島鳥居・四脚鳥居、と色々な名でよばれています。
「両部」は、真言宗が唱えた両部神道からきているという説があります。
本柱の前後に短い控え柱を立て貫(ぬき)で本柱とつないだ鳥居
神仏混淆(こんこう)の神社に多くみられる。宮島の厳島神社が代表例。

画像は一番有名な厳島神社の両部鳥居

神倉神社(かみくらじんじゃ)の鳥居も両部鳥居でした。

■ 三輪鳥居

三輪鳥居
(明神系)
三ツ鳥居・三光鳥居とも言われます。
明神鳥居と同じような建て方でありますが、
明神鳥居の左右に、わき鳥居をつけたものです。
4本の柱を並べ、入り口が3ヶ所あり
それぞれの入り口に扉をつけている特異な鳥居です。
奈良県桜井市三輪に鎮座する大神神社(おおみわじんじゃ)
にある鳥居を標準とすることから三輪鳥居と言われます。

画像は檜原神社(ひばらじんじゃ)奈良県桜井市三輪の三輪鳥居

大神神社 (おおみわじんじゃ)の三輪鳥居が代表的

■ 中山鳥居

中山鳥居
(明神系)
建立方法は明神鳥居と同じです。
しかし、貫が両方の柱から外側につき出ていないところが異なっています

(1)雛形は八幡型であり貫が左右の柱を貫いていないこと
(貫が左右の柱から突き出ていれば最も良く見かけるポピュラーな八幡鳥居となる。)
(2)額束があること
(3)笠木に反り増しがあること

中山神社(岡山県津山市)の中山鳥居(画像は、中山神社WIKIより)

■ その他 鳥居

神明系・明神系のどちらかに分類できない鳥居です。

見たことも無いような鳥居をまとめてみました。

■ 三柱鳥居

三柱鳥居
(その他)
上部から見て正三角形になるように明神鳥居を三つ組み合わせた形式の鳥居で、大変かわった鳥居です。
この三柱鳥居が湧水の上に建てられているので、
湧水の神格化という説もあり、別名、三脚鳥居ともいいます。
中国に伝わったキリスト教ネストリウス派の影響を受けたものとか、
老人の安座姿をあらわしたものとか色々説があるようです。

木嶋座天照御魂神社(このしまにますあまてるみたま)京都府京都市右京区太秦

■ 唐破風鳥居

唐破風鳥居(からはふ)
(その他)
鳥居、笠木が唐破風型をしている鳥居をいいます。
唐破風とは、屋根の切妻についている合掌形の装飾板がそり曲がった
曲線状を呈しているものをいいます。
滋賀県の三上山に多くあった鳥居の形式で別名三上鳥居とも言われています。
同地の御上神社にあったところから、御上鳥居とも言われます。

厳島神社(いつくしまじんじゃ)京都市上京区京都御苑内

■ 奴禰鳥居

奴禰鳥居
(その他)
明神鳥居から変形した建立の仕方で、柱と島木との接点の部分に、
一枚の「座」をはめているところに大きな特色をもっています。
そして、この「座」を台輪と称して、
柱の上部から腐っていくことを防ぐための手法から生まれたものです。
台輪鳥居でもあるが、額束のところに合掌状の破風扠首【さす】束をはめています。
実際に腐蝕を防ぐために役だっているのかどうかは不明ですが、
太い柱と細い島木との間にあり、調和のとれた建立となっています。

稲荷山にある荷田社(京都市伏見区)

■ 根巻鳥居

根巻鳥居
(その他)
別名「根巻鳥居」とも呼びます。
明神鳥居に似た建立ですが、柱の根元に別の「板」や「竹」で巻き付けられているところが特徴です。
また、巻き付けた部分を黒く塗るなどして
柱の下部が腐らないよう工夫されています。

宇治上神社(うじがみじんじゃ)京都府宇治市

■ 縄鳥居

大神神社 (おおみわじんじゃ) 境内の縄鳥居です。

木と木を縄で繋げただけのシンプルな鳥居。

夫婦杉や鳥居杉のように鳥居を似して

本殿前や参道入口に配されていることは少なくありません。

特に山岳信仰が残る神社に多いことから

原始的な鳥居の一つと言えます。

鳥居は「神域と人の暮らす俗界の境界」を意味します。

鳥居の前まで来たら、帽子や日傘などは取り

神さまへの敬意と境界に入らせて頂きますとの気持ちを込め

鳥居の前で一礼するのがマナーです。

また、鳥居から社殿に続く道を参道と言いますが、その中央は正中といって

神の通り道とされるので避けて歩くのが作法とされています。

もちろん鳥居も中央を避けて通ります。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加