十枚山(1726m) 大光山(1661m) 一本杉山(1235m)・周回
大光山より望む安部東山稜
安倍川東山稜、「十枚山」から「大光山」を縦走してきました。
梅ヶ島の「六郎木バス停」から、関の沢を経て、中の段の登山口までは林道を歩きます。
登山口からは直登コースで十枚山、さらに主稜線を北上、刈安峠から大光山へ登ります。
下山は西尾根から東峰・草木分岐へ、そこから一本杉山経由で東峰集落、
さらに本村集落まで下る周回ルートを歩いて来ました。
(一部バリエーションルートを含みます。)
十枚山(じゅうまいさん)
標高 1726m | 登山日 2023年12月17日 |
静岡の百山 山梨百名山 | |
所在地 静岡県静岡市葵区梅ヶ島 |
大光山(おおぴっかりやま)
標高 1661.41m | 登山日 2023年12月17日 |
静岡の百山 三等三角点(大光) | |
所在地 静岡県静岡市葵区梅ヶ島 |
一本杉山(いっぽんすぎやま)
標高 1235.4m | 登山日 2023年12月17日 |
三等三角点(一本杉) | |
所在地 静岡県静岡市葵区梅ヶ島 |
難易度 ★★ オススメ ★★ | 登山口(ナビ検索) 六郎木バス停 |
六郎木バス停(07:57)→十枚山駐車スペース(08:23)→十枚山登山口(08:51)→直登分岐(09:05)→1十枚山(0:21~10:38)→刈安峠(11:24)→大光山(11:52)→東峰分岐(12:37)→一本杉山(13:11)→六郎木バス停(14:27) 所要時間 6時間29分 累積標高 1834m / 1835m 距離 17.4km | |
■安倍川(あべがわ)上流最奥の梅ガ島温泉周辺は安倍峠、八紘嶺(はつこうれい)、大谷崩(おおやくずれ)、山伏(やんぶし)などハイキングの適地。 安倍川を挟んで安倍峠以南の尾根を、地元の登山者たちは、安倍東山稜と呼んでいた。尾根上には大光山(おおぴっかりやま)、十枚山、真富士山(まふじやま)、竜爪(りゆうそう)山が続く。西側の笹山から勘行峰(かんぎようみね)へ南下する尾根は安倍西山稜と呼ばれ、尾根歩きや沢登りが一年中楽しめる。この山域へは県内はもとより東京方面のハイカーも多く、中でも十枚山は人気が高い。山頂からの眺望はほしいままで、特に南アルプスの最高の展望台といってもよい。十枚峠を挟んで南側には、二等三角点の下十枚山があるが、展望は利かず、登る人は少ない。新静岡駅から梅ガ島温泉行のバスに乗り、関ノ沢で下車。約3時間で十枚峠に着く。山梨県側に下山するなら峠から反対側に下る。1時間も下ると林道に出る。(山と溪谷オンラインより) ■山梨県と静岡県の県境、安倍川の源流近くにある山。大光山の読みは「おおぴっかり」と、ユニークな読み方をする。安部峠から南下する尾根・安部東山稜とよばれている尾根上にある。山頂には三角点があり、展望もよく、すぐ南に十枚山、下十枚山が見える。(山と溪谷オンラインより) |
安倍川に掛かる関の沢橋
「六郎木バス停」前には公衆トイレと、10台以上駐車可能なスペースがあります。
こちらに駐車してスタート。安倍川を渡り、静岡県道29号(梅ヶ島温泉昭和線)を右へ、
先ずは「関の沢集落」を目指します。
さらに林道(芝代線)を道なりに「中の段集落」まで、
中の段まで登ると対岸の山並みが見えてきました。
左端にニ王山からの尾根、アツラ沢の頭〜井川峠の稜線を望みます。
中の段 十枚山登山口(865m)
林道(芝代線)の終点に登山ポストが設置された「十枚山登山口」があります。
ここまで道幅は狭いですが、少し手前に2台程の駐車スペースも有ります。
他にも、中の段入口付近の路肩スペース(600m)に7台程駐車可能です。
直登分岐(1019m)
登山口からは作業林道を何度か交差し、整備された登山道を「直登分岐」まで。
ここは十枚山へ至る「直登コース」と、十枚峠を経由する「沢コース」の分岐点です。
(※ 沢コースは登山道の崩壊があるそうで現在は通行止めです。)
分岐から「直登コース」へ進むと徐々に傾斜がきつくなります。
途中、涸れ沢を渡ったり、ザレ場をトラバースするような箇所もあるので注意が必要です。
やがて周囲が自然林になると展望が開けて来ました。
正面に大無間山を始めとする深南部の山々、右側に南アルプスの展望があります。
十枚山(1726m)
「十枚山」は静岡県と山梨県の県境を隔てる山。
上十枚山(1,726m)と、下十枚山(1,732m)からなる双耳峰で、
静岡の百山・山梨百名山の一座に選ばれています。
標高は少し低いですが、国土地理院の地形図では北にある上十枚山を十枚山としています。
山頂より駿河湾と伊豆半島
安倍東山稜の山並み
十枚山からは主稜線を北上、大光山を目指します。
周辺の木々は冬枯れてしており、左右に景色の良い稜線歩きです。
十枚山 北の笹原より
十枚山から少し下った所は背の低い笹原になっており、西側に展望が開けます。
安部西山稜や七ッ峰〜笹山までの稜線、その先には深南部の山々。
この日、南アルプスや深南部方面で雪が降っているのが見えました。
登っている最中には見えていた南アルプスですが、雲の中に隠れてしまいました。
山伏から大谷嶺、八紘嶺までの稜線、その奥には布引山と笊ヶ岳が見えます。
富士川を挟んで天子山地、大きな毛無山が目立ちます。
甲府盆地の先には奥秩父の山々。
さらに歩みを進めると右に目指す大光山が見えてきます。
東西に広い山頂を持つ山です。今回は左端へと伸びる尾根を使い下山します。
峠のすぐ手前には東側に崩れたガレ場の「黒崩」、
富士山と手前には天子山地、正面には篠井山の存在感があります。
十枚山と篠井山
刈安峠(1491m)
刈安峠はかつて成島峠とも呼ばれた峠で、その昔には駿河と甲斐を結ぶ峠道があり、
山村を結ぶ大事な生活路でもありました。
現在では両側共に崩壊がひどく廃道となっています。
峠の傍らにはそんな名残を残す、古い石仏が祀られています。
峠のお地蔵様
木に食べられた標識
峠からひと登りすると大光山の山頂です。
三角点と山標のある山頂は狭く、木々に覆われていて展望はありませんが、
周辺には幾つかの展望地があります。
大光山(1661.41m) 三等三角点(大光)
静岡の百山の一座、大光山(おおぴっかりやま)ですが、
正確にはこの先の「奥大光山(1620m)」が選ばれています。
不思議な山名の大光山は、朝一番陽光が輝く山とも、日影沢源頭に光るものを見て
金鉱(長盛鉱山)が発見されたことから名付けられたとも言われています。
布引山〜笊ヶ岳の隣に八紘嶺〜希望峰
主稜線を離れ西尾根へと進みます、大光山一帯は東西に広く山頂を持つ山で、
特に西側は短い笹原が広がる素敵な場所となっています。
十枚山から歩いて来た稜線
十枚山より北上すると、その大きな山体のため南側の展望がありませんでしたが、
西尾根へ少しずれることにより、安倍川や東西の山稜を望むことが出来ます。
公園のように笹原が広がる場所からは、ぐるりと安部奥の山々を見渡すことが出来ます。
大谷嶺から八紘嶺、安部峠を経て東山稜へと続く山並みです。
右には嫋やかな山容の山伏と、大谷嶺から伸びる七人作りの尾根が印象的です。
南側には安倍川を隔てて、東西の山稜を一望します。
安倍川と駿河湾
一通り景色を堪能した後は、西尾根から下山します。
ブナ林の美しい尾根を下り、P1530を越えるとジャンクションへ、
ここは日影沢からのルートとの分岐になっており、ここを南へ折れ植林の山腹を下ります。
水場の小屋(1263m)
植林帯をしばらく下ると沢が現れ、水場の小屋への前を通過します。
ここからはトラバース気味に山肌を進みます。
東峰分岐(1200m)
「東峰分岐」へ、ここまでは歩きやすい一般道で、そのまま下ると草木集落に至ります。
ここから真っ直ぐ尾根伝いに、一本杉山経由で東峰集落まで下ります。
東峰分岐の名の通り、その昔は生活路として歩かれることが多かった区間ですが、
現在はバリエーションとなっています。
ガレ場より
ルート上には一か所大きなガレ場があります。
ここから目の前に大きな十枚山と登りで使った尾根が見えます。
途中、案内板が設置されていたりしますが、不明瞭な所も多い登山道となります。
一本杉山(1235.40m)
一本杉山は大光山から南西に派生した長い支尾根上の一角にある山です。
その下には、東峰・戸持・兎作、等の茶農家の集落が点在します。
かつては草原の山で景色の良い山でしたが、現在は人工林に覆われ展望はありません。
三等三角点(一本杉)
一本杉山からも、マーキング・踏み跡共に薄い道が続きます。
下山で使う際には、尾根の方向に注意。
東峰集落
その後、モノラックに導かれて下って行くと、急に開けて「東峰集落」の茶畑へ。
ここは「日本一高い所にある茶畑」です。
安倍川を隔てて、東山稜と西山稜の稜線を望める好展望地にあります。
また下に見えるお宅は静岡市では最高所にある民家といわれています。
安部東山稜
日本一高い茶畑の看板
茶畑にはイスやテーブルがあり、ちょっとした展望台のようになっています。
上部にも畑跡が残っていたので、以前はさらに上まで茶畑が広がっていたのかもしれません。
最高所にある民家の脇から東峰林道へ、さらに戸持本村線へと下ります。
東峰林道より
右端にニ王山、周辺の尾根には小さな集落と茶畑が点在します。
梅ケ島の多くの茶園は800m辺りの高地にあります。
朝夕の寒暖差があり、霧が発生しやすく、日当たりの良い地が良質のお茶を育むそうです。
手前がこの先に続く「戸持集落」、
さらにその先には静岡のマチュピチュと呼ばれる「大代集落」が見えます。
戸持集落
戸持集落まで林道 戸持本村線を下ります。
細い尾根の稜線上に茶畑が広がる美しい集落です。
写真の茅葺きの建物の横から、集落の生活路を使って下山しました。
六郎木の案内板