室生寺 真言宗室生寺派大本山「女人高野」・奈良県宇陀市
女人高野 室生寺
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古来から女性が立ち入れなかった高野山に対し、
女性の参詣が許されていたため「女人高野」とも呼ばれた室生寺
奈良県と三重県の県境に近い室生川の上流にあり、
境内には国宝である金堂や五重塔などの堂塔が立ち並びます。
太鼓橋
朱塗りの欄干が印象的な太鼓橋は、
室生寺の境内と参道をつなぐゆるやかなカーブを描いた橋。
現在の橋は、昭和30年代に建てられたものです。
橋近辺からは、春は桜、秋は紅葉が望めるます。
表門
表門は大きな茅葺屋根が特徴の門です。
現在は閉じられており、通行することはできません。
表門前に立っている石碑には、「女人高野室生寺」の文字と、
江戸幕府五代将軍綱吉の母、桂昌院の紋が刻まれています。
三宝杉(さんぽうすぎ)
樹齢500年を超える見事な三本の大杉
室生寺
室生寺は、修験道の開祖である役小角(えんのおづの)が創建し、
空海(くうかい)が中興(再び盛り立てること)したといわれています。
日本書紀にも、「奈良時代末期にこの地で桓武天皇の病気平癒祈祷が行われ、
無事に病気が治った記念として創建された」という記述があり、
千年以上の歴史を持っていることは確かです。
室生山の麓から中腹にかけて伽藍が展開されており、
今のような状態に堂宇が整ったのは9世紀前半と推測されています。
創建当時から興福寺とつながりが深く、長い間法相宗の寺院でした。
それが江戸時代になると、五代将軍徳川綱吉の母、桂昌院(けいしょういん)の力添えで、
興福寺から独立して真言宗の寺院となります。
本来、真言宗は戒律が厳しく、女性が寺院に入ることは許されていません。
しかし、室生寺は桂昌院とのつながりができたことから特別に女人の参拝が許され、
これ以後、女人高野と呼ばれるようになりました。
桂昌院は室生寺を独立させるだけでなく、堂宇を修理するための寄付も行っています。
1964年には真言宗豊山派から独立し、真言宗室生寺派の大本山になりました。
仁王門
仁王門は江戸時代初期に一度火災で焼失しており、
現在の門は1965年(昭和40年)に再建された二層のものです。
朱塗りの柱と白い壁のコントラストが美しく、
安置されている仁王像にも彩色が残っています。
バン字池
仁王門をくぐると左手に見えるのが、バン字池です。
梵字の「バン」の形をした池で、大日如来を表わしています。
周囲の木々は秋の紅葉が見事です。
金堂
金堂は、平安時代に造られ、
江戸時代に正面の高床一間通りが増築された建物です。
現存している平安時代初期の仏堂は極めて貴重で、
1952年には国宝に指定されました。
屋根にある蟇股(かえるまた)という装飾部分に薬壺が描かれていることから、
元は薬師堂だったと考えられています。
金堂に安置されているのは、本尊釈迦如来立像・十一面観音像など6体の仏像と、
伝帝釈天曼陀羅(でんたいしゃくてんまんだら)です。
いずれも国宝や重文に指定されています。
中でも本尊の釈迦如来立像は元々薬師如来像として作られたもので、
光背に描かれている七仏薬師(しちぶつやくし)が見事です。
天神社拝殿 横には軍茶利明王。
軍荼利明王石仏
軍荼利明王石仏(ぐんだりみょうおうせきぶつ)は、
金堂前庭の手前にある苔むした岩に彫られた石仏です。
10本の腕を持つ軍荼利明王は珍しく、
4年に一度巡ってくる庚申の日には地域の方々が参拝に訪れます。
弥勒菩薩と釈迦如来が祀られている弥勒堂は現在修復中
弥勒堂
重要文化財の弥勒堂は鎌倉時代前期に建立されました。
入母屋造りで杮葺(こけらぶき)の屋根、
周囲に縁を張り巡らせた素朴な造りです。
江戸時代に大幅な改修工事が行われており、
内部には厨子に入った弥勒菩薩像と釈迦如来坐像を安置しています。
弥勒菩薩像は平安時代前期に作られたもので、
一木のカヤから彫り上げられているのが特徴です。
釈迦如来座像も平安時代前期の作で、現在は国宝に指定されています。
潅頂堂
本堂は潅頂堂(かんじょうどう)とも呼ばれている建物で、
1308年に建立されました。
五間四方入母屋造りで、和様と大仏様の折衷様式です。
潅頂とは真言密教の最も大切な法義の一つで、室生寺ではこの建物で行われています。
なお、本堂の扁額には悉地院(しっちいん)と刻まれていますが、
これは室生寺の正式名称です。
本堂には如意輪観音菩薩像が安置されており、
仏像は重要文化財、本堂は国宝に指定されています。
五重塔
室生寺の五重塔は高さが16.22mしかなく、
屋外に建つ五重塔としては日本最小です。
室生寺を代表する建築物で、現在は国宝に指定されています。
法隆寺五重塔に次ぐ歴史を持ち、
一層目と五層目の大きさがほとんど変わらないのが特徴です。
塔の最上部に九輪という飾りがついており、
その上に宝瓶と天蓋・竜車・宝珠を掲げる珍しい形となっています。
真言宗室生派 大本山の室生寺 山号は難しい漢字宀一山(べんいちさん)
開祖は役行者です。
奥の院
奥の院は室生寺の最も奥まった場所にある建物群で、
五重塔の後ろから無明橋を渡り、
300段以上ある階段を登ったところにあります。
この辺りまでの山際は暖地性シダ植物が自生する最北端の地として
天然記念物指定されているそうです。
無明橋
無明橋を渡り角を曲がると300段近く続く階段が現れます。
奥の院で標高450m程あります。
山の斜面を利用した懸造り(舞台造り)の位牌堂
山にある寺院で良く見かけます。
舞台作りの見事な常燈堂は昭和10年に建てられたもの。
こちらに圧倒されますが重要なのは背後の国重要文化財の御影堂
太師堂
御影堂は弘法大師空海を祀るお堂で、太師堂とも呼ばれています。
方業造で板葺の屋根を持ち、内部に安置されているのは
弘法大師が42歳の姿を象った像です。
屋根の上には露盤と宝珠があり、日本各地に現存する太師堂の中では
最古級のもので重要文化財に指定されています。
「御影堂」の傍らに諸仏出現岩といわれる岩場
その頂上には七重石塔が建ちます。
七重石塔
七重石塔は、御影堂の傍らにある諸仏出現岩の頂上に立つ石塔です。
素朴な石塔で、古い時代の信仰を今に伝えています。
室生寺 御朱印「悉地院」
御朱印「如意輪観世音」