槍ヶ岳(3180) 大喰岳(3101m) 中岳(3084)南岳(3032)・新穂高より




槍ヶ岳(3180) 大喰岳(3101m) 中岳(3084)南岳(3032)・新穂高より

新穂高温泉より 「飛騨沢ルート」から「南岳新道」で周回してきました。

新穂高温泉から出発する 「飛騨沢ルート」は、

最短距離で槍ヶ岳の山頂に登頂することが出来る登山道で、その他のルートと比較して

登山者も少ないので、静かに深山の雰囲気を堪能したい人にはおすすめです。

槍ヶ岳から南岳までは3000m級の稜線歩きを堪能し、

その後、南岳小屋から槍平小屋に至る「南岳新道」を使い下山しました。

南岳新道はメインのルートとは違い、鎖場の破断箇所、ハシゴ場の崩壊などがあり、

危険個所が複数存在するルートとなります。

今回は下りで利用しましたが、特に下山中の事故が多い登山道となりますので、

利用する際には注意して通行してください。

槍ヶ岳(やりがたけ)

標高 3180m 登山日 2023年9月9日
日本百名山 新日本百名山 花の百名山 日本5位の高峰
所在地 長野県大町市平

大喰岳(おおばみだけ)

標高 3101m 登山日 2023年9月9日
日本10位の高峰
所在地 長野県松本市安曇

中岳(なかだけ)

標高 3084m 登山日 2023年9月9日
日本12位の高峰
所在地 長野県松本市安曇

南岳(みだみたけ)

標高 3032.88m 登山日 2023年9月9日
三等三角点(北穂高)日本17位の高峰
所在地 岐阜県高山市大字神坂字保高岳

難易度 ★★★   オススメ ★★★ 登山口(ナビ検索) 新穂高温泉
新穂高温泉無料駐車場(03:23)→新穂高温泉バス停(03:31)→新穂高温泉駅(03:35)→小鍋谷ゲート(03:47)→穂高平小屋(04:13)→白出沢出合(04:45)→滝谷避難小屋(05:44)→藤木レリーフ(05:52)→槍平小屋(06:32)→飛騨沢千丈乗越分岐(07:51)→千丈乗越(08:17)→槍ヶ岳山荘(09:17)→槍ヶ岳(09:40~09:59)→槍ヶ岳山荘(10:11)→飛騨乗越(10:20)→大喰岳(10:35)→中岳(11:07)→天狗原分岐(11:38)→南岳(11:54)→南岳小屋(12:15)→南岳新道 救急箱(13:08)→槍平小屋(14:30)→藤木レリーフ(15:05)→滝谷避難小屋(15:09)→白出沢出合(16:01)→穂高平小屋(16:26)→小鍋谷ゲート(16:49)→新穂高温泉駅(17:01)→新穂高温泉バス停(17:07)→新穂高温泉無料駐車場(17:15)→1ゴール地点(7:33) 所要時間 13時間52分 累積標高 2609m / 2601m 距離 30.5m
■鋭角に天を突く岩峰でそのものずばりの命名、しかも北アルプス南部の登山道が集中する位置のよさ。槍ヶ岳は北アルプス南部の鎮である。行政区分からいえば長野県の大町市、松本市と岐阜県高山市との境にそびえている山である。地理的条件も実に絶妙な場所といえる。南から穂高連峰の縦走路、東から常念山脈や燕岳からの表銀座コース、谷筋では上高地から梓川、槍沢を遡っていく登山道、新穂高温泉から蒲田川右俣、飛騨沢を登るコースと、北アルプス南部のすべてのコースが槍ヶ岳に集中し、中央部へは西鎌尾根が唯一の回廊となって双六岳に通じる、北アルプス南部の扇の要である。しかも鋭い槍の穂先のような姿は、日本の氷河地形の典型でもある。地質は硬いひん岩で、氷河が削り残した氷食尖峰。東西南北の鎌尾根も氷食地形、槍沢、飛騨沢、天上沢、千丈沢はU字谷とカールという、日本の氷河地形のサンプルぞろいである。登山史上で初めて登頂したのは江戸時代の文政11年(1828)の播隆上人。4回登って3体の仏像を安置し、鉄鎖を懸けて信者の安全な登拝を可能にした。登路は安曇野の小倉村から鍋冠山を越えて大滝山へ登り、梓川に下って槍沢をつめている。今も残る槍沢の「坊主ノ岩小屋」は播隆が修業した籠り堂だ。近代登山史の初登頂は明治11年(1879)の英人W・ガウランド。1891年には英人W・ウエストンも登っている。日本人では1902年の小島鳥水と岡野金次郎。穂高・槍の縦走は1909年の鵜殿正雄で、ここに槍ヶ岳の黎明が始まった。大正11年(1922)には3月に、慶応の槙有恒パーティによる積雪期の初登攀があり、同年7月7日には早稲田と学習院が北鎌尾根への初登攀に挑んでいる。早稲田は案内人なしの2人パーティで、槍ヶ岳頂上から独標往復。学習院は名案内人小林喜作とともに末端からと、方式も違う登攀でともに成功した。その後も北鎌尾根ではドラマチックな登攀が行われ、昭和11年(1936)1月には、不世出の単独行者、加藤文太郎の遭難、昭和24年(1949)1月の松濤明、有元克己の壮絶な遭難が起きている。加藤の遺著『単独行』と松濤の手記『風雪のビヴァーク』は登山者必読の書である。

登山道で直接登るコースは、上高地から槍沢コース経由で槍ヶ岳(9時間30分)と、新穂高温泉から飛騨沢コース(8時間40分)の2本。ほかに穂高連峰からの縦走コース(7時間30分)、燕岳からの表銀座コース(8時間40分)、双六小屋から西鎌尾根コース(6時間)と数多い。(山と溪谷オンラインより)

日本百名山』(にほんひゃくめいざん)は、小説家、随筆家の深田久弥の著した山岳随筆。文筆家で登山家でもあった本人が、実際に登頂した日本の各地の山から自身が定めた基準で、100座を選び主題とした随筆集。

新穂高温泉 登山者用無料駐車場

長野県松本市の(中央高速道)松本インターから車で約1時間30分の場所に位置する、

岐阜県の「新穂高ロープウェイ(新穂高温泉)」が槍ヶ岳登山の起点となります。

新穂高温泉の登山者用無料駐車場(市営新穂高第3駐車場)は約250台と広いスペースながら、

シーズンともなると駐車場は飽和状態、夕方の段階で満車になることもざらにあります。

その他にある無料駐車場は数キロ先の「鍋平駐車場」、残りは全て有料駐車場となります。

余裕をもって訪れたいところです。

市営新穂高第3駐車場(登山者用無料駐車場)

住所    〒506-1421 岐阜県高山市奥飛騨温泉郷神(登山指導センター)

収容台数  約250台

駐車料金  無料

標高    1100m

トイレ   有り(夏と秋のみ仮設設置)

電波    有り

目的山域

槍ヶ岳/笠ヶ岳/わさび平/西穂高岳/双六岳/三俣蓮華/鷲羽岳/黒部五郎岳/雲の平/裏銀座縦走/水晶岳

中部縦貫自動車道の高山インターチェンジから国道158号などを経由して55㎞、新穂高ロープウェイの1㎞手前にある洞門内の 「深山荘」看板から駐車場に入ります。手前の駐車場は深山荘の駐車場で、登山者用看板より奥が文字通り登山者用駐車場です。常設のトイレはありませんが、シーズン中は仮設トイレが設置されますし、新穂高の登山指導センターまで行けばきれいなトイレがあります。
駐車場の奥から駅または登山口まで徒歩10分です。

新穂高登山指導センター

登山者無料駐車場から徒歩10分ほどの所に「新穂高登山指導センター」があります。

ここで登山届、下山届を記載することができます。

新穂高センター

住所   〒506-1421 高山市奥飛騨温泉郷神坂710番地9

駐車場  無し(近隣の有料駐車場をご利用ください。)

開設時間 4月~10月 10:00~17:00
11月~3月 10:00~16:00
(GW、夏休み、紅葉時期は9:00から臨時開館予定)
年中無休

アクセス 濃飛バス 平湯・新穂高線 新穂高温泉バス停から徒歩1分

新穂高温泉

「新穂高センター」の前を右に行くと「新穂高ロープウェイ」の乗り場があり、

その先に右俣林道への入口があります。

ちなみに、新穂高センター前を左側に進むと北アルプス裏銀座方面

(笠ヶ岳、双六岳、鷲羽岳、水晶岳など)への左俣林道へと向かうことになります。

白出沢出合 分岐の登山道案内図

「新穂高ロープウェイ」の乗り場から先、しばらくは右俣林道(未舗装の砂利道)を進みます。

林道はゆるやかな登りで、河川工事のための大型車両も通行する歩きやすい道です。

林道終点が「白出沢出合」で、槍ヶ岳に続く登山道と、穂高岳の白出沢ルート

との分岐(上の写真)があります。

ここはそのまま直進し、白出沢の橋を渡ると道は登山道になります。

滝谷避難小屋

白出沢から槍平小屋までは登山道となりますが、それほど標高差もないため、

比較的楽に歩くことが出来ます。

引き続き蒲田川沿いを上流に進むと、滝谷出合(川の合流地点)に到着します。

写真は滝谷出合にある避難小屋です。

滝谷からは雄滝、雌滝の向こうに荘厳な滝谷ドームを見上げることができます。

この後は、滝谷の他にも、南沢なども渡ることになりますが、

降雨中や降雨後でなければ基本的には水につかることはありません。

ただし、増水時には重大事故も発生しているため、注意が必要です。

槍平小屋

「槍平小屋 (やりだいらごや)」 は標高1,990mにある山小屋です。

大体ルート上の中間地点で、槍ヶ岳飛騨沢ルートと南岳新道と奥丸山の分岐点にあたります。

今回、登りは「飛騨沢ルート」下りは「南岳新道」を利用しました。

槍平小屋から先は飛騨乗越に向けて本格的な登りが始まります。

槍平小屋

住所     岐阜県高山市奥飛騨温泉郷神坂90(小屋事務所)

電話     090-8863-3021(小屋直通、夏期のみ)

アクセス   新穂高温泉から約4時間30分

山小屋    収容人数80人(花の名前の部屋で区切られている)

                    1泊2食弁当10500円、1泊2食9300円、1泊夕食8100円

                    1泊朝食7000円、素泊5800円(7月上旬~10月中旬)

テント場   50張、1000円/人(土・小石)

水場     無料の給水施設。中は洗面所兼用

                    外のキャンプ場近くにも蛇口あり

H.P

http://www.yaridairagoya.sakura.ne.jp/
http://blog.goo.ne.jp/yaridairagoya

槍平小屋を過ぎてしばらく進むと槍ヶ岳方面の最後の水場があります。

樹林帯を抜けるとまもなく千丈沢乗越分岐に出ます。

このあたりは美しいお花畑が広がっています。

千丈分岐手前の展望地より笠ヶ岳

千丈分岐より

「千丈分岐(2545m)」は、千丈乗越から西鎌尾根へ至るルートと、

飛騨乗越から主稜線へと至るルートの分岐となります。

分岐には救急セットが入っている箱が置いてあります。

(中には緊急用のサバイバルシートなどが入っています)

飛騨乗越へは稜線を見上げながら飛騨沢カールをジグザグにひたすら登ることとなります。

飛騨沢カールではシーズン中には沢山の花々が咲き、運が良ければ雷鳥にも遭遇できます。

この日は槍ヶ岳登頂後、南岳まで縦走予定のため、千丈乗越から西鎌尾根へと登りました。

千丈乗越(2720m)から西鎌尾根で槍ヶ岳へ。

槍の肩まで約1.2km 、標高差約360mを登ります。

尖った岩稜・ニセ槍を仰ぎながらその基部を右手側から巻いて行きます。

槍の肩

ニセ槍を越えると更に傾斜が増し、砂礫と岩礫とが混じる滑りやすい登山道となります。

ほどなくして槍の肩へ、右手に槍ヶ岳山荘・左手側は槍の穂先になります。

槍の肩から槍ヶ岳(槍の穂先)へ

登攀ルートは途中から登り用・下り用に分かれています。

上の写真のようなマーキングを頼りに間違わないように登りましょう。

ハイシーズンともなると槍ヶ岳山荘から列をなし、

登頂するのに数時間を要することもあるそうです。

登山者渋滞をしている際には、風に吹きさらされることもあるので、

山荘等にザックをデポする場合は厚着で穂先へアタックをした方が良いと思います。

写真や槍ヶ岳山荘から穂先を見上げると、凄い所を登っているように見えますが、

実際に登ってみるとそれほど難易度の高いルートではありません。

下から見上げると、一歩間違えると数十メートル滑落してしまう状況のように見えますが、

実際にはそれほどの場所はなく、冷静に昇り降りさえすればさほど難しくはありません。

(もちろん細心の注意・ヘルメットの着用が必要です。)

最も高度感があるのは穂先へとほぼ垂直に続く梯子です。

(左が登り用・右が下山用になります)

岩場にしっかり固定された頑丈な梯子なので、落ち着いて昇り降りすれば問題はありません。

しかし一部、梯子のステップが岩壁に密着し、

足のつま先しか梯子に掛からない場所があるので慌てずに注意しましょう。

槍ヶ岳(3180m)

槍ヶ岳は、日本で5番目に標高の高い山で、

日本百名山の他、「花の百名山」の一つに選定されています。

山頂には二等三角点「鎗ヶ岳」がありましたが、現在は廃止されています。

山頂には祠が祀られています。

槍ヶ岳を開山した播隆上人が奉納したとされる銅像阿弥陀仏、

銅像観世音菩薩と木造文殊師利菩薩の3体は盗難にあって現在はありません。

雷が落ちないように鉄製の釘は使用されていないのだそうです。

この日は雲が多く展望は今一つでしたが、

ブロッケン現象を見ることが出来きました。

山頂より

槍ヶ岳山頂から見下ろす槍ヶ岳山荘。

その先にはこれから縦走予定の稜線、手前には大喰岳(おおばみだけ)を望みます。

山頂より小槍

槍ヶ岳山荘

槍ヶ岳山荘は、槍ヶ岳の頂上直下に建つ定員650名と大規模な山小屋で、

創業は大正15年と古く、その歴史、立地条件、規模などからも、

北アルプスを代表する山小屋の一つです。

槍ヶ岳山荘

営業期間     4月下旬~11月上旬

宿泊       1泊2食:13,000円
1泊3食(お弁当付):14,500円
1泊夕食:11,500円
1泊朝食:10,500円
素泊まり:9,000円
個室
2名用:6,000円(簡易個室)
2名以上:8,000円(2、3名)~16,000円(8名)

テント場     2,000円

連絡先      〒390-0813長野県松本市埋橋1-7-2

電話       090-2641-1911(現地)

0263-35-7200(松本事務所、9:30~17:00)

H.P       https://www.yarigatake.co.jp/

山荘より望む槍ヶ岳

大喰岳(3101m)

槍ヶ岳から飛騨乗越を越え、大キレット・穂高岳方面へ縦走をするとき、

ひとつめのピークとなるのが「大喰岳(おおばみだけ)」です。

標高は3101m、日本10位の高峰ですが、槍・穂高連峰の一峰で付属的な山とみなされ、

通過してしまう登山者も多いです。(山標も少し離れた所にあります。)

晴れていれば、穂先と槍ヶ岳山荘を綺麗に見ることができるおすすめの眺望スポットです。

飛騨乗越からだと30分程度で登ることが出来ます。

大喰岳から南岳までは3,000mを越える稜線上の高低差の少ない行程です。

途中、小ピークを左に巻き、稜線上を中岳に向かいます。

中岳山頂下の梯子

中岳の頂上直下にはこのルート唯一の梯子と鎖が設置されています。

傾斜70度ほどの梯子が2連で架かっています。

中岳(3084m)

「中岳(なかだけ)」も、日本で12位の高峰なのですが、

同様に「槍・穂高連峰のピークの一つ」としか認識されていない、知名度の低い山です。

奥穂高岳から槍ヶ岳への縦走の途中に通る山といった扱いです。

中岳から見下ろした右俣谷

中岳から南岳に向かうルートでは、一旦、足場の悪い大きな岩場を下ります。

南岳へ向けて(写真右端)、正面の比較的平坦な尾根を歩きます。

中岳を振り返って

登り返した所で中岳・大喰岳・槍ヶ岳を振り返る。この辺りが絶景ポイントです。

右端に見える赤い屋根は殺生ヒュッテです。

この辺りがルート上の核心部。

と言っても谷側の傾斜は60度ほどで高度感もあまりない上、

登山道の幅もしっかりあるので問題なく通過出来ます。

なだらかな稜線が南岳へと曲線を描いています。

左上の場所で天狗原に向かう分岐があります。

天狗原方面の展望。

横尾尾根が伸び、左手下に天狗原カールが見えます。

正面岩稜の直前で右方向へと方向を変え、

なだらかな登山道を登ると南岳山頂に到着します。

南岳より望む歩いてきた稜線

南岳(3032.88m)

「南岳(みなみだけ)」も、日本で17位の高峰ですが、知名度の低い山です。

南岳から北穂高岳まで続く稜線は「大キレット」と呼ばれる

断崖絶壁の痩せ尾根(岩稜帯)で、一般登山ルートとしては国内最難関とされています。

三等三角点(北穂高)

南岳山頂から5分ほどで南岳小屋に到着します。

ここから先、穂高連峰に至るには大キレットを通過しなくてはなりません。

南岳小屋

南岳小屋から槍平小屋に至る「南岳新道」を使い下山。

南岳新道はメインルートとは違い、鎖場の破断箇所、ハシゴ場の崩壊などがまだ見られ、

危険個所が複数存在するルートとなります。

通行にあたっては細心の注意を払って下さい。

南岳小屋

営業期間     中旬~10月中旬

宿泊       1泊2食:13,000円
1泊3食(お弁当付):14,500円
1泊夕食:11,500円
1泊朝食:10,500円
素泊まり:9,000円
個室
6畳 5,000円/室(最大5名)、8畳 10,000円/室

テント場     2,000円

連絡先      〒390-0813長野県松本市埋橋1-7-2

電話       090-4524-9448(現地)

0263-35-7200(松本事務所、9:30~17:00)

H.P       https://www.yarigatake.co.jp

南岳新道から槍平小屋へ、来た道を戻り新穂高センターまで。

蒲田川に架かる橋より、奥に笠ヶ岳の稜線を望みます。

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