甲武信ヶ岳(2475m) 笠取山(1953m) 周回・奥秩父主脈縦走




甲武信ヶ岳(2475m) 笠取山(1953m) 周回・奥秩父主脈縦走

道の駅「みとみ」より

奥秩父主脈縦走コースの甲武信ヶ岳〜笠取山間 を周回してきました。

木賊山(とくさやま)

標高 2468.78m 登山日 2023年8月12日
三等三角点(破風)
所在地 山梨県

甲武信ヶ岳(こぶしがたけ)

標高 2475m 登山日 2023年8月12日
日本百名山
所在地 山梨県山梨市三富川浦

破風山(はふやま)東破風山・西破風山

標高 西峰(2317.83m)・東峰(2260m) 登山日 2023年8月12日
三等三角点(破不山) 山梨百名山
所在地 埼玉県秩父市大滝・山梨県山梨市三富川浦

雁坂嶺(かりさかれい)

標高 2289.41m 登山日 2023年8月12日
三等三角点(雁坂)山梨百名山
所在地 山梨県山梨市

水晶山(すいしょうやま)

標高 2158m 登山日 2023年8月12日
所在地 埼玉県秩父市大滝

古札山(こふだやま)

標高 2112.27m 登山日 2023年8月12日
ニ等三角点(釜川村) 
所在地 山梨県山梨市三富川浦

燕山(つばくろやま)

標高 2004m 登山日 2023年8月12日
古札山 雁峠間のピーク
所在地 埼玉県秩父市大滝

笠取山(かさとりやま)

標高 1953m 登山日 2023年8月12日
山梨百名山
所在地 埼玉県秩父市大滝

難易度 ★★    オススメ ★★★★ 登山口(ナビ検索)道の駅(みとみ) 
道の駅みとみ(03:59)→西沢渓谷入口バス停(04:04)→ねとりインフォメーション(04:16)→徳ちゃん新道登山口(04:22)→徳ちゃん新道分岐(05:51)→戸渡尾根分岐(07:14)→木賊山(07:19)→甲武信小屋(07:30)→甲武信ヶ岳(07:46~08:00)→甲武信小屋(08:10)→木賊山まき道分岐(08:21)→破風山避難小屋(08:56)→破風山(09:31)→東破風山(09:54)→雁坂嶺(10:31)→雁坂峠(10:51)→水晶山(11:17)→古礼山(11:36)→燕山(12:02)→雁峠(12:23)→小さな分水嶺(12:31)→笠取山西(12:36)→笠取山展望地(12:50)→笠取山(12:54)→笠取山展望地(12:59)→笠取山西(13:07)→小さな分水嶺(13:11)→雁峠(13:16)→亀田林業所ゲート(14:57)→新地平バス停(15:06)→道の駅みとみ(15:21) 所要時間 11時間21分 累積標高 2550m / 2556m 距離 29.3km
■標高2,475mの甲武信ヶ岳は、日本百名山にも名を連ねる秩父山系の中央に位置する山です。その名にあるように甲斐(山梨県)、武蔵(埼玉県)、信濃(長野県)の県境に位置しています。ちなみに北隣りにある三宝山標高2,483mの方が、8m標高が高く、埼玉県の最高峰でもあります。甲武信ヶ岳を源流とする三大河川があります。千曲川は、日本最長の河川で、新潟県に入り信濃川と名前を変え、日本海に注ぎます。荒川は、関東平野を横切り、東京湾に注ぎます。笛吹川は、甲府盆地に入り釜無川と合流し、富士川と名前を変え、駿河湾に注ぎます。

山梨百名山(やまなしひゃくめいざん)は、1997年、山梨県によって選定された県内の名山100選である。一般公募と市町村推薦であがった候補の中から、選考委員会によって、県民に親しまれている・全国的な知名度がある・歴史や民俗との関わりあるなどの基準で選ばれたとされる。

甲武信ヶ岳 登山口

道の駅「みとみ」より、「徳ちゃん新道」から

急登ですが、よく整備されており、登りやすい登山道です。

朝焼けの鶏冠山

シャクナゲのトンネル

ルート上にはアズマシャクナゲが数多く自生しています。

5月下旬から6月中旬にかけてが見ごろで、花のトンネルを作ります。

近丸新道と合流して戸渡尾根を登る

シャクナゲ林を過ぎると縞枯れ帯へ。

木賊山の手前には、花崗岩の開けた場所があります。

富士山と広瀬湖 右に乾徳山・黒金山

木賊山(2468.78m) 

木賊山の山名については一時期混乱していた時期があったらしく、

現在でも木賊山の山頂にある三角点は「破風」、

東隣の破風山の山頂にある三角点には「破不山」の点名が付けられています。

明治時代に陸軍測量部が誤って木賊山の山頂に破風山の三角点を据えてしまったために、

混乱を避けるために破風山の方を破不山と呼ぶことになったのだといいます。

三等三角点(破風)

木賊山の山頂からいったん鞍部へ急坂を下ります。

途中の開けた所では正面に甲武信ヶ岳と奥の三宝山、

左手には国師ヶ岳と金峰山が見渡せます。

木賊山のザレ場から見る甲武信ヶ岳の有名なショット

ここを下ると「甲武信小屋」に至ります。

甲武信小屋

甲武信小屋

営業期間  GW~11月30日
電話    090-3337-8947
料金   (1泊2食)8,500円、(テント泊)1,000円 ※要予約

H.P    甲武信小屋 (kobushigoya.net)

甲武信ヶ岳(2475m)

甲武信ヶ岳(2475m)は山梨県・埼玉県・長野県の3つ県境にある山で、

山名も、甲斐(山梨)・武蔵(埼玉)・信濃(長野)にまたがることに由来します。

一方、拳を突き上げたような山容から、とする説もあります。

南側の展望

国師ヶ岳〜金峰山、小川山

八ヶ岳

甲武信ヶ岳は深い森を擁していますが、山頂は開けており堂々たる富士山が見どころです。

秩父山塊、雲取山などはもとより、八ヶ岳、南アルプス、北アルプスなどの高峰も望めます。

なんと、日本百名山のうち43座が見えるとも言われています。

再び甲武信小屋へ

周辺の山小屋は、他に「十文字小屋」「雁坂小屋」でテント泊も可能です。

甲武信小屋は、山頂から近くの好立地にあります。

夕食のカレーライスは評判、焼き鳥も食べられるそうです。

荒川水源の碑

甲武信ヶ岳には中央分水嶺が通っており、

千曲川(ちくまがわ)・荒川・笛吹川の3河川の源頭部を抱えています。

千曲川は、信濃川と名を変え日本海へ流れ込みます。

そして荒川は東京湾に、笛吹川は釜無川と合流して富士川となり太平洋へ注がれます。

ヤナギラン

木賊山の巻道を経て縦走路へ、

シャクナゲやコメツガ シラビソ、苔に覆われた気持ちが良い道が続きます。

賽の河原

下り始めると花崗岩質のザレた急登、雨の日などは注意が必要です。

途中「賽の河原」と呼ばれる開けた展望地があります。

賽の河原からはこの先歩く縦走路が見渡せます。

手前には大きな破風山、登り返しが大変そうです。

右へ水晶山〜古札山と続いていきます。

立枯れ域

ここから下草は笹に変わり大規模な立枯れ地帯へ、

この立ち枯れは、花崗岩質の地形と東南側の厳しい環境によるものなのだそうです。

富士山と広瀬湖

お陰で見晴らしの良い道が続きます。

各所で足が止まります。

約400m下り鞍部にある避難小屋へ

小屋の前にはテーブルと椅子が設置されており、絶好の休憩ポイントとなっています。

破風山避難小屋

「破風山避難小屋」色々と曰く付きの小屋ですが、

ダルマストーブが設置されていて大変綺麗でした。ファンも多い小屋だといいます。

富士山と乾徳山

破風山へは岩塊斜面の急登です。

時々立ち止まって後ろを振り返ります。

背後には、木賊山・三宝山 左に戸渡尾根と歩いて来た縦走路を望みます。

破風山の岩塊斜面

甲武信ヶ岳や破風山の周辺では、約900万年前ごろにマグマが上昇してできた花崗岩類を見ることができます。巨礫からなる岩塊斜面は、寒冷な時代の凍結・破砕の作用でできたと考えられています。火成岩と氷期の痕跡を観察できる県内では貴重な場所です。

両神山

破風山(2317.83m) 三等三角点(破不山) 

双耳峰の破風山、こちらは「西破風山」です。

標高が高い西破風が山頂とされて、二等三角点(破不山)が設置されています。

木賊山の所でも記載したとおり、明治期に謝って設置してしまったため、

仕方なくこちらは当て字の「破不山」としたそうです。

展望地より

破風山の山頂間は、巨礫からなる岩塊の尾根です。

これは、寒冷な時代の凍結・破砕の作用でできたと考えられているそうで、

火成岩と氷期の痕跡を観察できる貴重な場所です。

所々に展望箇所があります。

東破風山(2260m) 

歩き進めると東破風山(2260m)の山頂です。

少し先には四等三角点(東破風)(2178.16m)があります。

ここから急な下りとなり、

木々の間から目指す、雁坂嶺〜水晶山〜古札山を見ることが出来ます。

雁坂嶺・水晶山・古札山

この辺りに地質境界があり、これまでの花崗岩類ゾーンから付加体型地質に、

山の傾斜も緩やかにかわってきます。

破風山から雁坂嶺へと東に向けて下る この下りの途中に地質境界があり、これまでの深成岩の一種である花崗岩類のゾーンから砂や泥の堆積岩でできた地味な地質ゾーン(付加体型地質)に変わります。 この先、白亜紀付加体である四万十帯の砂岩/泥岩互層の地層が続いています。細かく言うと「小河内層群」と言う名前の地層です。 基本的には陸源性の、砂と泥でできた地層であり、海洋性地質(チャート、玄武岩、石灰岩)の岩体が少ないので、地質的には地味な稜線といえます。

雁坂嶺までは立枯れ・倒木地帯が続きます。

丘のような、なだらかな傾斜を何度か登りきると「雁坂嶺(かりさかれい) 」に至ります。

雁坂嶺2289.41m 三等三角点(雁坂)

別名は「雁坂ノ峰」、甲斐国志の中では「嶺」は「とうげ」と読ませるとの事例があり、

元々は雁坂峠の別の呼び名であったともいわれています。

展望の無い山頂には、三等三角点(雁坂)と山梨百名山の山標があります。

雁坂嶺から緩やかに下り、

雁坂峠が近づくと草原地帯へと変わります。

雁坂峠

南アルプスの三伏峠・北アルプスの針ノ木峠と合わせ「日本三大峠」と呼ばれています。

秩父往還

日本書紀に日本武尊が蝦夷平定のために利用したと書かれていることから、

日本最古の峠道ともいわれています。

秩父往還と呼ばれたこの道は、秩父観音霊場巡礼の道として、

また秩父から塩山の繭市場へ繭を運ぶための交易路として栄えたそうです。

水晶山

この先、埼玉県側に少し下った所に「雁坂小屋」がありますが、

立ち寄らず 縦走路を行きます。

雁坂小屋

テント場  約30張

山小屋   約30人収容

水場    小屋の庭に引いてある

電波    ドコモなら通話可能

雁坂小屋公式ブログ http://karisakakoya.blogspot.jp/

雁坂峠から埼玉側に下り約10分の場所。
小屋から峠までは登りでおよそ15分。
現在は素泊まりのみで、土日を中心に管理人が入る。
無人の場合も一部開放されており、宿泊することができる。
小屋の直ぐ上から両神山、その奥に尾瀬、日光、谷川岳などの山並みが見られる。また雲取山、和名倉山も見られる。

振り返って雁坂嶺と峠

水晶山への登りは一転して苔の森となります。

やがて開けた所が水晶山の山頂、展望がなく静かな山頂です

水晶山(2158m)

続いて笹に覆われた古札山へ

古礼山はまき道もありますが、こちらは踏み跡が薄そうな印象でした。

古札山(2112.27m) 二等三角点(釜川村)

古札山の山頂は笹に覆われ木々も少ないので景色がいいです。

笹の一画が刈り取られベンチが設置されていました。

山頂より

燕山(2004m)

続く小ピークの燕山を過ぎると、雁峠へ向けての下りとなります。

雁峠と笠取山

雁峠の稜線一帯は山地草原に、

この草原は山火事などによる森林破壊後、風のあたる斜面に出来た草原なのだそうです。

カワラナデシコ

ミツバチとノアザミ

雁峠

この小さな峠が荒川・多摩川・富士川の三つの川の分水嶺となっています。

分水嶺

笠取山の山頂手前には関東水源の始まりの地を示す「小さな分水嶺」の碑があります。

それぞれ「荒川」「富士川」「多摩川」の文字が3方向に刻まれています。

このピークの東側に降った雨は関東平野の西部を潤す荒川となり東京湾へ流れます。

西側に降った雨は甲府盆地を南下した後、富士山の西側を通り抜け

太平洋に注ぐ富士川となります。

そして、南側に降った雨が多摩川となります。

ほんの少し離れた位置に落ちたばかりに、雨水の運命は東・西・南とわかれ、

それぞれの河川として流れ下ることになると感慨深い場所です。

笠取山

分水嶺のある小ピークを過ぎると一旦下り、

目の前に笠取山への急登が現れます。

笠取山の南懐には水神社の祭られた「水干(みずひ)」があります。

ここから湧き出る水が多摩川の最初の一滴となる場所です。

急登を登り詰めた先に「山梨百名山」の山標

「新・花の百名山」の一座でもあります。

中央に大菩薩嶺・手前は黒川鶏冠山

ここまで歩いて来た稜線、

燕山〜古札山〜水晶山〜雁坂嶺と連なるのが見えます。

笠取山(1953m)

山梨百名山の山標がある展望の良い山頂から岩場を進んだ先、

埼玉県の山標があるこちらが実際の山頂のようです。

雁峠まで戻り、新地平ルートより下山。

亀田林業林道ゲートまで川沿いを何度も渡渉しながら下ります。

途中、沢山の鹿に出会いました。

しばらく清々しい沢沿いの道を歩いていき、やがて登山道から林道へ

道の駅「みとみ」まで戻り終了です。

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