秋葉古道(相月道)散策・下日余尾根〜福沢尾根




秋葉古道(相月道)散策・下日余尾根〜福沢尾根

以前、秋葉街道(塩の道)を歩いた際に、瀬戸集落から見た大高遠山へと至る尾根。

ここを歩いてみたくて、「相月道」と呼ばれる秋葉古道の散策を兼ね歩いて来ました。

秋葉街道は竜頭山への登山口、平和(ひらわ)集落跡の手前から二手に分かれます。

前回歩いた江戸後期以降のメインルート「西渡(にしど)」とは別に、

岩井戸〜平和〜仙戸〜福沢〜下日余〜上日余〜相月〜小相月〜向皆外〜芋堀と

水窪川左岸に続く秋葉古道は「相月道」と呼ばれ、水窪川沿いの一番古い道でもあります。

しかし、この道に関して書かれている書籍は少なく、歩いた記録も無いため、

数少ない資料を手掛かりにルートを作成しました。

結果、思っていた以上に苦戦して、相月〜下日余区間のみの調査で終えてしまいました。

相月道歩きはまた別の機会に挑戦してみたいと思います。

一方山登りの方ですが、下日余尾根は途中のピーク886mから伐採地となっていて、

スーパー林道天竜線に至る1100m地点ぐらいまでに素晴らしい展望があります。

下山で使った福沢尾根も北側に展望がひらけた中電の巡視路を歩くルート、

どちらもリーピート確実なお気に入りルートになりました。

静岡県牧之原市(旧相良町)から長野県塩尻市まで続く「塩の道の南塩ルート」西渡〜水窪までの区間を歩いて来ました。 前回、最後に歩いた大井地区の岩井戸・大滝集落から、秋葉街道(塩の道)は水窪川の右岸と左岸の二手に分かれます。

秋葉古道(相月道)散策・下日余尾根〜福沢尾根

難易度 ★★    オススメ ★★★ 登山口(ナビ検索) JR飯田線 城西駅
スタート地点(08:42)→ゴール地点(16:27) 所要時間 7時間43分 累積標高 2017m / 2095m 距離 29.3km
■秋葉街道(あきはかいどう)は、各地から秋葉大権現に通じる参詣者が向かう道の総称で、幾筋の道が存在する。「塩の道」と呼ばれるのは、遠州の相良から信州の塩尻を結ぶ約200 kmのルートである。途中の静岡県菊川市には「塩買坂(しおかいざか)」、掛川市には塩問屋が集まっていたという「塩町」など、塩にちなむ地名が残されている。終点の塩尻という地名も、相良から運ばれてきた塩の終着点を意味し、そこから更に山あいの村々へと運ばれていった場所だったことに由来する

下日余尾根

下日余集落から大高遠山(1296.2m)へと伸びる尾根

今回この尾根を勝手に下日余尾根と呼んでいます。

これは先日、西渡〜水窪への「秋葉街道(塩の道)」を歩いた際に、

林道西渡線の「瀬戸集落」から見た景色です。

この景色を見て、歩きたくなったのが今回の山行の動機。

せっかくなので、水窪川左岸に続く秋葉古道の「相月道」歩きを組み込み計画しました。

竜頭山(1352m)

こちらも林道西渡線の「瀬戸集落」から見た景色。

左に緩やかに伸びる尾根が、中電の巡視路沿いを続く「福沢尾根ルート」

手前P668の下に「鮎釣集落」が見えます。

この尾根が今回下山で使ったルートです。

本来、相月道は「平和(ひらわ) 廃集落」へと下る途中の分岐「青ナギ」から、

「仙戸集落」を経てこのP668の真下を通過します。

国道152号

JR飯田線 城西駅付近に車を停め、

周回した後に秋葉古道(相月道)を「向皆外(むかがいと)」まで戻る予定です。

国道152号を相月橋まで向かいここを左折。

相月沢川

相月集落

相月沢川 沿いを1kmほど行くと「相月集落」へ

すり鉢状の地形の斜面いっぱいに民家が並んでいる相月集落。

こんなに大きな集落だったとは知りませんでした。

秋葉・金毘羅大権現の石碑

秋葉古道(相月道)の交差点、

小相月を経て向皆外へと向かう道の途中にはお馴染みの

「秋葉・金毘羅 両大権現の碑」が建っています。

古道は諏訪神社前を通り尾根へと続いているようですが、

道がないため林道を迂回します。

大洞山と相月集落

下に見える鳥居が相月 諏訪神社

上日余集落

数件程度の小さな集落です

上日余集落より

(右)「立原(たっぱら)集落」・(左)「横吹集落」

対岸の愛宕山(802.1m)から続く尾根の下に前回歩いた秋葉街道(塩の道)が通ります。

赤児様

黒木鳥居の後ろには「赤児様」と呼ばれる巨大な片理の露頭が祀られています。

下日余集落 集落の一番北にあるお宅の横から、

「おきいど城跡(日余城)」への道があります。

お宅の真横を登ります。留守のようなのでお邪魔させて頂きました。

山道への入り口には「鳥頭観音石碑」寛政九巳年(1797)とあります。

馬頭観音は六観音の一尊で、馬は元より動物全般 (六道の畜生界)を守護する仏様です。

この馬頭観音石碑は珍しく鳥頭と彫られていますが、

養鶏供養塔のような意味合いで建てられたものだと思います。

山へ入ってすぐに祠

山中に鳥居 お祭りの後らしく、

お祓いに用いる御幣 (紙垂を串に挟んだもの)が沢山刺さっています。

高根大明神

P556城跡があるピーク直下には「高根大明神」と書かれたお社が鎮座。

おきいど城跡(日余城)・堀切跡

P556 は「おきいど」または「日余城」と呼ばれる 城跡とだと云われています。

ちょうど高根城や秋葉山(秋葉城)を見渡す事が出来る立地で、

掘ると烽火の炭が出土するそうです。

実際は簡単な砦のようなものだったと思うのですが、

ピーク付近には堀切跡も残っていていました。

比丘尼峠

「おきいど城跡(日余城)」を越えて比丘尼峠から下日余尾根へ

相月道に至る道への分岐にあたります。

その昔、ここで武士が比丘尼(尼僧)を斬り殺したことに由来する峠。

下日余尾根

拍子抜けするほど歩きやすい道、

竜頭山や山住神社への参拝道(古道)だったのでしょう。

地元の方や林業の方が付けたらしいピンテが多く快適なルートです。

P732.94 三等三角点(小玉石)

P886m付近から作業林道が並走、やがて伐採地へ

P907.27m 四等三角点(相月)より望む井戸口山

作業用林道が複雑に入り組み、

尾根は全て伐採された荒涼とした景色の中を登ります。

凄い規模の伐採地 これは景色は期待出来そうです。

先ず飛び込んできたのは井戸口山(1335.3m)

スーパー林道から手軽に登れてしまう山ですが、こうしてみると立派な山容です。

静岡愛知県境から奥三河の山々

手前左側が今回登ってきた尾根、その上には天竜川が隔てる戸口山と愛宕山

奥に離山〜日本ヶ塚山の稜線 さらに奥には三河本宮山と(三ツ瀬)明神山など

奥に萩太郎山と茶臼山、さらに恵那山

手前には矢岳山や八嶽山など、馴染みのある山が多く嬉しい景色。

更に登り進めると 井戸口山の稜線から御嶽山

恵那山と御嶽山

スーパー林道天竜線へ

林道福沢線との分岐、この林道は竜頭山福沢登山口を経て集落へと下ります。

天竜の森 北駐車場より

少し雲が多めな東側の展望 ボンジ山〜灰縄山

中央駐車場より

竜頭山

下山は福沢尾根へ、竜頭山の山頂は今回もパス

福沢尾根

中電の送電巡視路を歩く竜頭山へのクラシックルート

先程とは高度と角度が変わり、北西にひらけたこちらも素晴らしいルート

南アルプスと深南部の山々

中ノ尾根山〜光岳の間に聖岳 上河内岳かと思います。

大高遠山と歩いて来た尾根

中央アルプスと手前中央は観音山、熊伏山へと至る稜線

御嶽山

歩いて来た尾根を横目に下れるのが嬉しいです

愛宕山(802.1m)と中央には冒頭で写真を撮った瀬戸集落が見えます。

竜頭山福沢登山口

一度、林道福沢線と交差、ここまで車で来ることもできます。

P668の先、ここが秋葉古道(相月道)、仙戸集落からの道との合流地点。

木の根元には文字の消えかけた石碑(金毘羅様)があります。

仙戸方面へはしっかりとした踏み跡が残っています。

斜面をトラバースしながらの古道探し。

たまにそれらしき道はありますがほぼ残っていません。

福沢集落への手前に石碑や石仏

福沢 諏訪神社

福沢川

諏訪神社の鳥居をくぐり福沢川に掛かる吊橋を渡る。

福沢集落

福沢川右岸の狭隘な土地に茶畑が広がります。

この辺りは福沢集落の中でも下村と呼ばれています。

上流に上村があり、そこに先ほど見た「林道福沢線」の起点があります。

古道探し

福沢集落への上部へと続く相月道が見つかりません。

唯一の資料を片手に、それらしき道を歩いてみます。

荒れた沢を越を渡ると廃屋がありました。

沢の先、巨石の前に祠、隣には神社もあります。

何とか集落の上部へ

3件の廃屋、1件は現在も生活されているようです

撤退

福沢集落から再び古道探し。

入口付近にそれらしき踏み跡があるのみで、この先崩落箇所が多く進むのにも苦労しました。

比丘尼峠まで何とか戻り、下日余集落へ下山。

向皆外までの古道歩きはキャンセルして元来た道を戻りました。

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