鯉ヶ滝(恋仇)・静岡県静岡市葵区梅ヶ島
鯉ヶ滝(恋仇)は安倍川の源流域、梅ヶ島温泉の温泉街から、
山梨県境の「安倍峠」に向かう林道梅ヶ島線の途中にある滝です。
50mほどの落差を、岩肌を滑るように流れ落ちるさまが美しい滝
別名(恋仇)あり悲劇の伝説が残っているそうです
鯉ヶ滝(恋仇)
1.昔、阿倍郡梅ヶ島村に住む百姓の三郎左衛門と
湯治場の湯女のおよねとは、許婚の間柄だった。
ある日、府中より馬場新之介という若侍がこの湯治場に
腰痛の治療に来て、いつしか、およねと深い恋に落ちた。
2.二人の関係を知った三郎左衛門は、
ショックの余り殺意を覚え、二人のいる湯治場に火を放ち
山へ逃げ込んだ。そして、滝の上まで来た三郎左衛門は、
湯治場にいるはずの二人の逢瀬の場を見つけ、
逆上して背後から二人を滝下へ突き落としてしまった。
3.住み慣れた村の空が湯治場の焼ける炎で赤く染まるのを見た
三郎左衛門は、自戒の念にかられ、二人の後を追い滝下に身を投げた。
しかし、この時彼が見た空は、火事の炎ではなく
晩秋の美しい梅ヶ島の紅葉に彩られたものだった。
4.その後、三郎左衛門とおよねは緋鯉と真鯉に化身して結ばれ、
仲良く滝に住んだという。爾来、この滝は「恋仇」(鯉ヶ滝)と
呼ばれているが、事実は定かではない。