白糸の滝・音止めの滝「世界遺産」(日本の滝百選)・静岡県富士宮市
静岡県富士宮市上井出にある「白糸の滝」は、
隣接する「音止めの滝」と共に、国の名勝、天然記念物、
日本の滝百選にも選ばれている名瀑です。
また「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」の構成資産の一部として
世界文化遺産に登録されています。
白糸ノ滝
白糸ノ滝は、富士山の湧水を水源とする芝川から流れ落ちる滝と高さ約20メートル、幅150メートルの湾曲した絶壁から湧き出る水が並行して流れ落ちている滝で、その存在は古くから知られており、昭和11年(1936)国の名勝及び天然記念物に指定されています。
この滝の全国的にも珍しい特徴は、富士山に染み込んだ雨や雪解け水が地下の溶岩層の隙間を巡り、その末端部の断崖で脇出するというものです。
本展望台からの眺望は、秀麗な富士山を優美な滝越しに見る唯一のビューポイントであり、一年を通して素晴らしいものですが、新緑の季節や紅葉の時期は、その美しさが一層映えるものとなっています。
滝の右岸上部の展望スペースより
晴れの日には白糸の滝の後ろに富士山を望むことができます
白糸の滝は、富士山の雪解け水が、
上部の水を通す地層である新富士火山層と
下部の水を通さない地層である古富士火山層の境の絶壁から湧き出しています。
富士講の開祖とされる長谷川 角行(かくぎょう)が修行を行った地とされ、
富士講を中心とした人々の巡礼・修行の場となったことでも知られています。
白糸の滝
白糸の滝は、高さ約20メートル、長さ約150メートルに渡り馬蹄状に広がる崖面の各所から湧き出した水が、数多くの白い糸を垂らしたように流れ落ちています。全国的にも珍しい湧き水からなる滝であり、見事な警官を持つことから、昭和11年(1936年)に国の名勝及び天然記念物に指定されました。 周辺の地質は、上部に水を透し易い地層(白糸溶岩流)があり、下部に水を通しにくい地層(古富士泥流)があります。富士山麓に降った雪解け水などは、上部の地層の内部や層の境目を流れ下っていると考えられており、崖面では上部のちそうや層の境目から水が湧き出している様子が観察できます。
食行身禄の碑(じきぎょうみろくのひ)
江戸時代の中期以降、江戸を中心に隆盛した富士講の開祖の長谷川角行は白糸ノ滝で修行を行ったとされます。そのため白糸の滝は富士講の進行を集め、信者の参詣や修行などが行われました。このことは世界遺産「富士山」の重要な要素とされ、白糸の滝はその構成資産となっています。食行身禄の碑は、天保3年(1832年)、富士講の中興の祖 食行身禄の百回忌供養として造立されたものです。幕末、白糸の滝で修行を行った富士講の先達の記録には白糸の滝で垢離をとる先達のそばに食行身禄の碑と思われる石碑が描かれています。
厳磐叢神社
音止めの滝の上の落口に鎮座する厳磐叢神社(ゆついわむら神社)
天照大御神・磐長媛尊の女神二柱がご祭神
音止の滝は白糸ノ滝とは対照的で
高さ25mの絶壁から轟音をとどろかせている勇壮な滝です
曾我兄弟が父の仇の工藤祐経(くどうすけつね)を討つ密談をしていた時に、
滝の音が激しいため、神に念じたら音が消えたと言う言い伝えに由来します。
音止の滝
音止の滝は、「音無の滝」とも呼ばれ、白糸の滝と台地を隔てた東側に位置します。主瀑は落差約25メートルを流れ落ちる芝川の本流であり、轟音を響かせています。音止の滝には、次のような曽我兄弟の仇討ちにまつわる伝承があります。曽我兄弟が滝のそばで仇討ちの相談をしていたところ、滝の音が凄まじいので「心ない滝だ」と呟くと、滝の音がピタリと止まり、相談が終わるとまた元のように轟音を響かせました。無事に相談が出来たので、兄弟は見事に仇討ちを果たすことができました。そこで、この滝は「音止の滝」と呼ばれるようになりました。周辺には、兄弟の敵である工藤祐経の墓や兄弟が身を潜めた「隠岩」など、曽我兄弟の仇討ちにまつわる話も伝わっています。