瑞雲院・静岡県浜松市天竜区春野町堀之内
静岡県浜松市天竜区春野町堀之内にある曹洞宗の寺院「瑞雲寺」
曹洞宗北遠三ヶ寺のひとつに数えられる名刹です。
養老2年(718)行基により開基、御本尊は伝 行基作の聖観音像と伝わります。
その後、戦国時代の初め頃、「犬居城主 天野氏の菩提寺」として再興されました。
明応2年(1493)犬居城主・天野氏により「随雲寺」から「瑞雲院」へと
寺号を改められましたが、徳川家康の攻撃により伽藍のすべてを消失。
犬居城攻めのため、瑞雲院に陣を敷いた家康の寄進により、
慶長年間(1596~1615)に現在地に再建されて以来、曹洞宗へと改宗されました。
(改宗の時期については、寺号を改めた時との説もあるようです)
そのため、瑞雲院の古い瓦や土蔵には「三つ葉葵」紋が見られます。
寛延3年(1750年)建造の楼門形式山門は曹洞宗寺院では極めて珍しく貴重な建造物です。
犬居橋と犬居城跡
戦国時代、この地は今川・武田・徳川の攻防戦の要所でもありました。
天野氏の居城 犬居城を攻略する際、徳川家康は犬居城とは気田川を挟んで、
対岸の瑞雲院に布陣したと伝わります。
しかし、気田川の増水や地の利を生かした夜襲等で家康は敗走します。
その後、家康は気田川の上流の砦から攻め犬居城を落としたといわれています。
この二度目の戦の際に瑞雲院は兵火に遭い、全て焼け落ちたとか。
瑞雲院 山門
特に楼門形式の山門は曹洞宗の寺院では珍しく大変貴重なもの。
境内には天野氏代々の墓所と犬居城の守り神であった駒形稲荷を祀る。
瑞雲院 山門
市指定有形文化財 平成二年一月二十四日
瑞雲院山門は、寛延三年十一月十五日(一七五〇)、瑞雲院第十五世泰山任超和尚によって造立されたものである。入母屋造、二層建、桟瓦葺、弁柄塗り、一間一戸の楼門で、高さは約9.6m、間口は4.25m、奥行き3.6mで、上層に一室をもつ。扉は間口3.0m、高さ2.4mで左右に袖掘が付属されている。
北遠地方の曹洞宗寺院では楼門形式の山門は極めて珍しく、貴重な建造物である。境内の諸堂伽藍を背景にした朱塗りの山門は、老杉の翠に囲れて一層美しく、北遠曹洞三ヶ寺の名刹に相応しい姿をみせている。
平成三年七月三十日 浜松市
瑞雲院 本堂
瑞雲院
曹洞宗北遠3ヶ寺の一つとして有名。寺記によると主尊の聖観音は養老2年行基作。茅舎に安置し村民の尊崇を受け、雲遊の僧交来多く、隋雲時と称された。時代を経て曹洞宗永平九世石叟派に属した。明応2年犬居城主天野安芸守檀頭となり瑞雲院と改める。天正4年兵火で焼失。慶長年間家康によって現在地に再建される。